人を表す表現

big cheese お偉方

cheese といってもここでは食べるチーズのことではない。会社や組織などの「重要な人物」のことを指し、この cheese ということがある。boss とは、かなりニュアンスが違う。big cheese には言外に「無能な(上役)」というその人をけなした響きがあると同時に、どこかしらユーモラスな感じがある。友だちに”You’re the big cheese here, huh?”(ここじゃお前さん偉いんだね)と茶化したり、同僚に”The big cheese wants to see you now.”(偉いさんがお前に会いたいそうだ)のようにいう。

bigmouth おしゃべり屋

bigmouth は、しゃべってはいけないことをついもらしてしまうおしゃべり屋のことだ。”He is a bigmouth. He told everyone our secret.”(彼はおしゃべりなやつだ。我々の秘密をみんなにしゃべっちまった)のように使う。
冗舌な人を表すスラングには、-mouth という形のものがほかにもいくつかある。loudmouth はおしゃべりなうえに、声まで耳障りな響きがあるし、motormouth は機械のように、ポンポンことばが飛び出す人のことを指す。また、他人のうわさをするのが好きなおしゃべり屋は blabbermouth という。

tough cookie 手強いヤツ

例えばここ一番というときに、強い精神力で困難なことを乗り越えられるような男がいるとする。そのような人を指すのにぴったりなのが tough cookie だ。”He’s a tough cookie. He demanded to see the president.”(彼は手強いヤツだ。社長を出せと要求してきた)のように使う。
tough cookie は男を指すことが多いが、強い女性にも使うことがある。例えば、”She has become a tough cookie after being harassed by her fellow workers.”(彼女は同僚にいびられてからというもの、強くなった)などということができる。

all thumbs ぶきっちょ

thumb は親指のこと。もし、手の指がすべて親指のように太くて融通がきかないものだったらどうだろう。細かい作業などできるわけがない。だから、 all thumbs は「ぶきっちょ」という意味になる。
“I am all thumbs when it comes to carpentry.”(大工仕事となると私は不器用なんです)のように使う。また、映画『イーストウィックの魔女たち』には”Fidel’s all thumbs with this kind of thing.”(フィデルはこういうことは苦手なんです)というセリフがある。

dude ひと

dude は、一般的に「男の人」を意味することばだ。ただ man と違って親しみが込もっている感じがする。もちろん、かなりくだけた場面でしか使われない。多くの場合、知らない人に対して呼びかけとして使っているようだ。映画『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART 3』に”What’s your name, dude?”(おまえさん、名前は?)というセリフがある。
ところが、このことばは男性だけに対して用いられているわけではない。西海岸のティーンエージャーを中心に、女性たちに対して使うのが一種のはやりとなっている。そういえば、彼らは guys ということばも「男性」ではなく、「みんな」という意味で使っている。”Hey, you guys.”といわれて女性が振り返ってもいいわけだ。

smart cookie 頭のいいヤツ

先に tough cookie(手強いヤツ)というスラングを取り上げたが、もうひとつ cookie を使うスラングを紹介しよう。smart cookie は「頭のいい人間」という意味だ。例えば、”She’s a smart cookie. She was able to master the alphabet by the age of four.”(あの子は賢いんだよ。4歳までにアルファベットをおぼえちゃったんだから)のように使う。
ただ、このことばは親しい友人や子どもに対して使うのは問題ないが、ふつう面と向かって相手に言うのは失礼な感じに聞こえる。日本語でも「あなたは頭がいい」などと言うのは尊大な感じがするのと同じだ。

hotshot 腕利き(の)、やり手

「やり手の人/頭の切れる人」などを指すことばとしてよく使われるのが hotshot だ。特に若くても自信と野心があり、大胆な手段でのし上がった人というニュアンスがある。”Bill is becoming a real hotshot salesman.”(ビルは本当の腕利きセールスマンになりそうだ)などと使う。
また、場合によってはかなり皮肉を込めた感じになる。映画『クレイマー、クレイマー』には、クリスマスイブに職業安定所に押しかけて、どうしても仕事を紹介して欲しいという主人公に、担当官が”My, we are a hotshot, aren’t we?”(いやあ、[クリスマスイブまで仕事をして]われわれはすごいやり手ですな)と皮肉を言うシーンがある。

backseat driver 余計な口出しをする人

backseat driver とは、自動車の後部座席に座って、運転する人にあれこれと指示をする人のことだ。これは運転手にとっては、迷惑以外の何ものでもない。そこから転じて、車の中に限らず、広く日常生活の中で、あれこれと余計なお節介をしたり、口出しする人のことを backseat driver という。口うるさい人には、”I want you to stop being a backseat driver.”(余計な口をはさむのはやめてもらいたい)と言えばいいのだ。

fair-weather friend いいときだけの友達

『赤毛のアン』(1986年/加・米・西独作品)では、「やるなら徹底的に謝ろうと思ったの」と自分の芝居がかった言動を言い訳するアンに、マリラが、「その徹底振りはお祈りにとっておきなさい。お祈りで大切なのは誠実さですよ」というシーンがある。そして”God does not want you for a fair-weather friend.”(神はあなたに、いいときだけの友人になってほしくはないのですよ)とたしなめるのである。

wild card 何をするか分からない人物・もの

『トップガン』(1986年/米作品)では、訓練飛行中、ルールを守らずに直感で行動したマーベリック(演じるのはトム・クルーズ)のことを、上官が次のように評する。”He’s a wild card. Flies by the seat of his pants. Completely unpredictable.”(あいつは何を考えているのか分からんやつだ。勘で飛ぶ。全く予想がつかない)。fly by the seat of one’s pantsは、「計器に頼らないで飛行機を操縦する」という意味のイディオム。

stick in the mud 古くさい考えの人

『スーパー・タッチダウン』(1991年/米作品)では、大学のアメフトチームを再結成したい監督が、学部長に資金援助を求める場面がある。しかし学部長は、”Call me stodgy, priggish, a stick in the mud if you will, but I believe that the function of the university is to educate and enlighten.”(私のことを、つまらないとか、お堅いとか、古くさい考えの人間と呼ぶのなら、そう呼んでもらって構わない。だが、大学の役割というのは、教育と啓蒙にあると私は信じている)と、援助を断るのである。

knockout 目がくらむほどの美人

『めぐり逢い』(1994年/米作品)では、ある女性を、ウォーレン・ベイティ演じる主人公マイクの婚約者と勘違いした彼の叔母が、”I must say, you’re a knockout in person, and you look so much younger.” (まあ、実物は本当に美しいお方ね、それに思っていたよりずっとお若く見えるし)とその女性に向かって言っている。

kiddo (主に子どもへの呼び掛けとして)ボク、お嬢ちゃん

『素晴らしき日』(1997年/米)では、父親ジャック(ジョージ・クルーニー)が、娘のマギーとそのクラスメートであるサミーと、彼の母親メラニー(ミシェル・ファイファー)を連れて課外授業の集合場所に急ぐ場面がある。結局時間には間に合わず、そのことに責任を感じたジャックは、メラニーに向かってわび、埋め合わせを約束する。そしてサミーにも”You, too, kiddo. All right?”(ボク、君にもだ。いいかな?)と言っている。

old bean ねぇ、君

『ベイブ』(1995年/米)では、農場主の家族のごちそうにされてしまったアヒルのロザンナの様子を、同じアヒルのフェルディナンドが目の当たりにする。彼は、「僕は賢いアヒルなんだ。冒険もまたいいものさ」と言って、その農場からでていこうとするのだが、門の前で立ち往生してしまう。そこで、見送りに来た子ブタのベイブに、”Would you do me a favor, old bean?”(お願いされてくれないか、ねぇ、君?)と言って、門を開けるように頼んでいる。