名詞の使われ方がオモシロイ

gig 仕事

gig とはもともとジャズメンの仕事、特に一晩だけの契約の仕事を指していた。いまではジャズメンに限らず、広く「仕事」の意味で使われる。ただし固定の仕事ではなく、一回限りの仕事を指すことが多い。例えば、雑誌の記者が担当外の記事を書くように依頼されるといった仕事である。”He asked me to go out on a gig.”というと、「やつが仕事を回してくれたぜ」ということになる。また、”It’s just a part-time gig for me.”といえば、「そんなもん、片手間で十分さ」という意味だ。
映画『クレイマー、クレイマー』のなかには、会社の上司がダスティン・ホフマンに”Now a gig like this doesn’t come along―once every five or six years. Don’t blow this.”(こんな仕事は今じゃめったに来るもんじゃない。失敗するな)という場面がある。

lemon 欠陥品、不良品

lemon といっても食べる「レモン」ではなく、「不完全なもの、不満足なもの」を lemon と言うことがある。車をはじめ、時計やビデオなどの機械製品を指すことが多い。”I bought this VCR cheap, but it was a lemon.”(ビデオデッキを安く買ったんだけど、不良品だったよ)という具合である。
また、lemon の「使えない、がっかりさせる」という意味から、”The answer was a lemon.”という表現もある。これは相手の頼みや要求に、「やだよ。ふーんだ」のように嫌悪、嘲笑の意味を込めて返答するときに使われる。この言い方は危険度が中くらいなので、使うならば十分注意したほうがいい。

a dime a dozen 安い、ざらにある

文字通りには「1ダース10セント」という意味だが、そこから、「安い、ざらにある」という意味で使われるようになったものだ。”Bananas used to be an expensive fruit, but now they are a dime a dozen.”(バナナはかつては高価な果物だったが、いまでは二束三文の値打ちしかない)とか、”English teachers are a dime a dozen in Japan.”(日本じゃ、英語教員は余るほどいる)という具合に使う。
ただし、このスラングは「価値がない」という意味合いが常に伴うので、使う状況をわきまえて、失礼な言い方にならないよう注意する必要がある。

small potatoes はした金、取るに足らないモノ(人)

potato には、スラングとしての意味のひとつに「お金、ドル」というのがある。だから、small potatoes は、「小額のお金、はした金」になるわけだ。The employer said he would give us a special bonus, but in fact it was small potatoes.(社長は、僕らに特別のボーナスをやると言っていたけど、実際はスズメの涙ほどだった)のように使う。
また、取るに足らないモノ、人なども指す。映画『ワーキング・ガール』に”A radio station is small potatoes.”(ラジオ局なんて取るに足らないもんだ)というセリフが出てくる。

beef 不満、不平

beef はもともと「牛肉」という意味だが、スラングでは「不平、不満」になる。例えば、相手がぶつぶつと文句を言っているが、ちっとも要領を得ないとき、What’s the beef?(一体何の文句があるんだ?)と言えばいい。同じような意味をもつ単語に、complaint がある。しかし、complaint と違うのは、beef には「その不平や不満を耳にしたくない」というニュアンスがある点だ。例えば、あなたが何かの苦情を言っているときに、I don’t know what your beef is.(一体何があなたの気にいらないのかわからないよ)と言われたら、相手は誠実に苦情に耳を傾けるつもりなどないと思ったほうがいいだろう。

breeze 楽勝

breeze とは「そよ風」のことである。スラングでは「たやすい仕事、楽勝な試験(試合)など」を意味する。清涼感のあるこのことばには、つまり、苦しい思いをしなくても、涼しい顔でできてしまう、というイメージが含まれている。
例えば、試験が近づき、心配そうな顔をしている友人には、”Don’t worry. It should be a real breeze for you.”(心配するな。そんなの、君にはきっとお茶の子さいさいだよ)と言えばいいだろう。

goo-goo eyes 色目、流し目

goo-goo eyes とは、「誘惑的な目つき、視線」のことだ。はっきりとした語源は不明だが、goggle (目をむく〈こと〉)からできたという説もある。
普通、make goo-goo eyes at … という形で用い、”Tim often makes goo-goo eyes at me during class.”(ティムは授業中によく私に色目を使うのよ)などと使う。映画『イーストウィックの魔女たち』には、”Then he shows up here, making goo-goo eyes at Jane.”(それから彼はここにやって来て、ジェーンに色目を使うんですよ)というセリフが出てくる。

the last straw 我慢の限界

the last straw は、我慢の限界、これ以上いったら破たんしそうなぎりぎりの状態を指す。したがって、「これ以上は我慢できない」「我慢の限界だ」は、That’s the last straw. と言えばいいのだ。例えば、”Bob broke the window again? That’s the last straw.”(ボブがまた窓を割ったって? もう勘弁ならないぞ)という具合に使う。
この表現は、It is the last straw that breaks the camel’s back.(たとえ最後に載せるのがわら一本でも限度を超えたら、らくだの背中を折る)ということわざから使われるようになったもの。

a flash in the pan 見かけ倒し、竜頭蛇尾

初めはえらく勢いがあるのだが、その勢いが長続きせず、さえない終わりを迎える人や物事のことを、a flash in the pan という。例えば、”Her success was a flash in the pan.”と言えば、「彼女の成功はまるで線香花火のようだったね」となる。
映画『カイロの紫のバラ』に、”You’re not a flash in the pan.”(あなたは竜頭蛇尾に終わる人じゃないわ)”It would be very easy for me to trade on my looks, but I have serious acting ambition.”(ルックスでやっていくのは簡単だけど、マジに演技をやりたいんだ)とのやりとりがある。
なお、この a flash in the pan は、火打ち石銃が、火皿(pan)の中で発火する際、ときどき空発で終わることから生まれたものだ。

giggle 面白いこと、冗談

全編スラングの宝庫と言う感じの『パルプ・フィクション』(1994年/米作品)では、チンピラのパンプキンが、携帯電話を使って酒屋を強盗する方法について話すシーンが冒頭にある。「酒屋は襲わないの?」と訪ねるパートナーに、パンプキンは、”What have we been talking about? Yeah, no more liquor stores. Besides, it ain’t the giggle it used to be.”(何を話してたんだ?そうさ、酒屋はやらないよ。それにもう昔みたいに面白くないし)と答えている。

ball and chain 恐妻、かかあ天下の女房

『危険な情事』(1987年/米作品)では、マイケル・ダグラスふんする主人公夫婦とその友人夫婦の4人がディナーを楽しむシーンがある。その席で、友人は自分の妻を、”Attention, please. Ladies. Gentlemen. My wife. My ball and chain.”(ご注目ください。皆さん、こちらが私の妻、かかあ天下の女房です)とふざけて紹介している。

nest egg 将来の蓄え、貯金

『スピード』(1994年/米作品)では、バスに爆弾を仕掛けた犯人(演じるのはデニス・ホッパー)が電話で身代金を要求する。”Three point seven million dollars. It’s my nest egg, Jack. At my age, you’ve got to think ahead.”(370万ドル。おれの(老後の)支度金となるんだ、ジャック。この年になると先のことを考えなきゃならないんでな)と、警官のジャック(演じるのはキアヌ・リーブス)を脅すのである。

bucks ドル

『ウォール街』(1987年/米作品)の中では、チャーリー・シーン演じるバッドが、飲み屋で「稼いだお金はどこに消えてしまったんだ?」と父親に尋ねられる。そこでバッドは「ニューヨークじゃ、5万ドル稼いでもお金はどんどんなくなってしまう」と言い、”I need good suits. Four hundred bucks a pop.” (いいスーツだって要る。1回[の買い物]で400ドルさ)と説明している。

picnic 楽な仕事

『ER緊急救命室 1 ~ 甘い誘い』(1994年/米作品)では、手術室に入った外科医のベントンがスタッフに、”OK, boys and girls. Let’s go. This isn’t a picnic.”(いいか、みんな。始めるぞ。これは楽な仕事じゃないぞ)と声をかけるシーンがある。

shot in the dark 当てずっぽう

『ペリカン文書』(1993年/米作品)では、ジュリア・ロバーツ演じる女性の法学生ダービーが、暗殺犯についてある仮説を立てて論文を書く。その仮説がことごとく当たるので、論文を読んだ大統領の側近のコールが、”We thought it was just another shot in the dark, now I’m not so sure.” (今回も当てずっぽう[が当たっただけ]だと思っていたが、今は[当てずっぽうだと言い切る]自信があまりない)と言うシーンがある。

glitch ちょっとした問題

『ザ・インターネット』(1995年/米)では、サンドラ・ブロック演じるコンピューターの専門家アンジェラに、友人のデイルがあるソフトの分析を依頼する。アンジェラがそのソフトの中のあるアイコンをクリックすると、突然画面が乱れてしまった。電話の向こうにいるデイルが”So … what do you make of all this?”と聞くと、アンジェラは”Simple. It’s a programming glitch.”(簡単よ。プログラミング上の問題よ)と答える場面がある。

tall talk 大げさな話、大人の話

『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997年/米)では、数学者マルコムと、その恋人で恐竜の生態調査を行う古生物学者サラが言い争う場面がある。そばにいた娘のケリーに話を聞かせたくないマルコムは、”Kelly, this is tall talk. Just, just for a minute …”(ケリー、これは大人の話だ。ちょ、ちょっと外しなさい)と言う。するとケリーは、「遊園地の身長制限みたいね」と言いつつその場を離れようとするのだ。