英語らしいたとえ表現の数々

rain check 先延ばし

rain check とは、野球や野外の催し物などが雨で中止になったり、順延になったときに観客に配られるチケットのこと。これを日常会話では、何かを先延ばしにするという意味で使うことがある。先に延ばす理由は雨でなくてもいい。例えば先約があって招待を断るときには、”Thank you so much, but I’m booked tonight and will have to take a rain check.”(ありがとう。今夜は先約があるから、またの機会にね)と言ったりする。

lie like a rug 大風呂敷を広げる、大ほらをふく

日本語では「大風呂敷を広げる」というが、英語で広げるのは「敷物(rug)」なのである。広げた rug は、何かを覆い隠すことを連想させる。この連想から生まれた、「敷物を広げたようにうそをつく」という、一種のことば遊び的なスラングなのだ。
映画『ドライビングMissデイジー』に”If you’re going to lie like a rug, I think it’s time for you to go somewhere else.”(ほらを吹くつもりなら、そろそろどこかへ行ったら)というセリフがある。

No sweat. 朝飯前だ、心配ご無用!

sweat とは「汗」という意味である。No sweat. は「(汗を必要としないくらい)簡単なこと」ということになる。No problem. や Don’t worry. という代わりにこのことばが使えるわけだ。しばしば、相手の心配を和らげたり、疑いを晴らすための返事として使われる。例えば、”Do you think we’ll arrive before noon?” ― “I’ve got a car, no sweat at all.”(昼までに着けるだろうか。―車があるさ、心配いらないよ)という具合に使う。
映画『ウォール街』では、”Guarantee? No sweat!”(保証ですか? お安いご用です)というセリフが出てくる。

bomb ぶっ飛ぶような大失敗(をする)

bomb はもともと「爆弾」という意味である。これがスラングの世界では「大失敗」を意味するから面白い。その由来は、一説には爆弾が爆発したときのような、「ぶっ飛んだ結果」を連想させるからだという。
例えば、”The movie was a real bomb.”(あの映画はぶっ飛んだ失敗作だったよ)などと使ったりする。また、bomb は動詞としても使うことができ、”I really bombed on the English test.”(英語の試験は大失敗だった)などと言う。
また、受身形の bombed で、「(お酒や麻薬などに)酔った」という意味もある。例えば I got really bombed. と言えば、「すっかり酔っちゃったよ」という意味なのだ。

Catch-22 逃れようのないジレンマ

どうもがいても、解決策が見つからないジレンマ、不合理な状況を指すスラングが Catch-22 である。これはアメリカの小説家 Joseph Heller が書いた、ジレンマに悩む主人公が登場する小説のタイトルから、広く使われるようになったものだ。”I’m in a Catch-22.”(僕はジレンマに陥っているんだ)や、”Working in Japan is a Catch-22. To get a job, you need a visa. To get a visa, you need a job.”(日本で働くことはキャッチ22さ。仕事を得るにはビザがいる。ビザを得るには仕事がいるんだ)のように使う。
このスラングは、この小説を知らない相手には通じないし、教養をチラつかせている感じを与えることもある。その意味で注意は必要だ。

bring home the bacon 生活費を稼ぐ

「家にベーコンを持って帰る」というのは、生活のためにお金を稼ぐという意味だ。bacon の代わりに、groceries(食料品)が使われることもある。映画『クレイマー・クレイマー』で、主人公が5歳の息子に “Daddy’s gotta bring home the bacon. Not only does he bring home the bacon but he’s gotta cook it, too.”(お父さんは生活費を稼がなきゃならない。稼ぐだけじゃなく、料理もしなきゃね)と話すシーンがある。
また、bring home the bacon は、「(企てや試合などで)成功する」という意味で使うこともある。Their new pitcher brought home the bacon. (今度のピッチャーは、勝利を持って帰った)がその例だ。

I’m dog food. ひどい目にあうよ

映画では、腕力のある者や、武器を持っている者などに、追いかけられたり、襲われる場面がよく出てくる。そのようなときに、人に助けを求める、面白い表現を紹介しよう。”I’m dog food.”である。つまり、「(助けてくれなければ)ドッグフードのように、(無抵抗に)食べられて(やっつけられて)しまう」というわけだ。
例えば、”You go around that way. I’ll cover you.”(君はそんな具合に動き回っていればいい。僕が援護するからね)”Thanks. I’m dog food, if you don’t.”(ありがとう。あなたが守ってくれないと、私は餌食になってしまうわ)という使い方をする。

Read my lips. よく聞けよ

自分の指示を強制的に相手に聞かせる場合に使われるフレーズが Read my lips. だ。特に、何度言っても相手に伝わらないときに、いらだちの気持ちを含めて使われる。例えば、Now read my lips. I said, “Get out of here right now.”(いいかよく聞け。俺は、今すぐ出て行けと言ったんだ)と使う。ただし、このフレーズは、相手をばかにした響きがある。「こっちを向いて、俺の言うことをよ~く聞けよ」という感じだからだ。従って、使う状況や相手を、十分に考えて使わないと、思わぬ誤解を招くので注意。これはブッシュ元大統領の Read my lips. No new taxes.(よ~く聞いてほしい。増税はしない)という発言で有名になった表現だ。

catch some Zs ひと眠りする

夜、床に入って睡眠を取る場合よりも、昼寝やうたた寝などのように、ちょっとひと眠りするというときに使うのが catch some Zs だ。マンガで、寝ている人物の寝息を、”Zzzz.”と表現しているのをよく見かける。日本語で言うなら「グー、グー」という感じだ。Zs は、このように、人の寝息を表した、擬声語的スラングなのだ。
“It’s about time to catch some Zs. I’ve been at it for 12 hours.”(そろそろひと眠りしてもいい時間だな。12時間もかかりきりだったんだもん)という具合に使う。

on the ball 有能な、抜かりのない

on the ball というのは、もともと球技の選手がボールに全身系を集中させる様子から、「気を張っている」「抜かりのない」「有能な」という意味が出てきた表現だと言われる。
“The new secretary is really on the ball.”(新しく来た秘書は本当に有能だ)のように使う。また、映画『摩天楼はバラ色に』には、”You seem to be a young man with a lot on the ball. Keep it up.”(君は才能ある若者のようだ。その調子で頑張れ)というセリフがある。

Hang onto your hat! 腰を抜かさないでよ!

Hang onto your hat! は、文字通りには「帽子を押さえててよ」ということだ。つまり、「これからびっくりすることを話すけれど、驚いて帽子を落とさないでね」という意味。ユーモラスに話の前置きをするときに使う。
驚いたときに思わず飛ばしてしまうのは hat(帽子)に限るわけではない。Hang on to your toupee! ということもある。toupee とは「(男性用の)かつら」のことだ。映画『チップス先生さようなら』には、”We’re going to give you a shock, Chips, so you’d better hang onto your chair.”(チップス先生、驚かせることがありますから、イスにしがみついていたほうがいいですよ)と、chair を用いた例もある。
なお、これらの前置き表現は、いずれも、不幸な知らせやまじめな話のときには使わないので注意。

No dice. いやだね、だめだ

dice は「さいころ」のことだが、この No dice. は相手の依頼や要求を断るときに使う表現だ。例えば、”Would you like to go to the new disco tonight?”(今晩、新しいディスコに行かないかい?)”Sorry, Bill, no dice. I’ve got to finish this paper by tomorrow morning.”(悪いけどビル、だめなんだ。この書類を明日の朝までに仕上げなくちゃならないんでね)などと使う。 また、何かを試みて失敗したときにも使える。”Did you get an OK from the boss?”(ボスの許可はもらえたかい?)”No dice, I’m afraid.”(残念ながら、だめだったよ)という具合だ。

Step on the gas! 車を飛ばせ!

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年/米作品)には、スケートボードで走る主人公マーティーをいじめっ子のビフの一団が自転車で追いかけるシーンで、”Come on, come on, come on! Come On! Step on the gas!”(行け、行け、行け! 行けー! 飛ばせー!)というセリフが出てくる。
また、同じ意味で”Step on the juice.”(このjuiceは「ガソリン」の意味)や単に”Step on it!”ということも多い。”Step on it!”と言われて、「えっ? 何を踏むの?」なんてトンチンカンな質問をしないように。

Put yourself in his shoes.

彼の気持ちを考えて。
『ジャック・サマースビー』(1993年/米作品)では、死んだと思っていた夫のジャック(リチャード・ギア)が、ある日突然帰ってくる。ジョディ・フォスター演じる妻のコーレルは、別の男性と再婚を約束していたが、結局その約束を断ることに。それをジャックに打ち明け、”Now, I want you to be nice to him. You got to try and put yourself in his shoes.”(ねえ、私はあなたに、彼に優しく接してもらいたいの。あなたは彼の気持ちを考えてみてあげなければならないわ)と話す場面がある。

Money talks. 金がモノを言う

『ツインズ』(1988年/米)には、ある事情から別々に育った双子の兄弟が、数十年後に刑務所で初めて顔を合わせる場面がある。服役中の兄ビンス(ダニー・デビート)と面会した弟のジュリアス(アーノルド・シュワルツェネガー)が、兄を助け出したいと申し出る。半信半疑のビンスは「おれをここから出してくれるのか」と聞き返すが、”Well, money talks and bullshit walks.”(まあ、金次第でウソもまかり通るんだよ)と答えるのである。Bullshit walks.は「ウソもまかり通る」という意味で、下品度が非常に高い表現。

Ditto. 右に同じ

『ゴースト ニューヨークの幻』(1990年/米)では、ベッドルームでモリー(デミ・ムーア)が、恋人のサム(パトリック・スウェイジ)に”I love you. I really love you.”(愛しているわ。心から愛しているの)と言う。するとサムは、”Ditto.”(僕も同じさ)と応じるのだ。

Mickey Mouse ちょろい、たやすい

『カラーズ 天使の消えた街』(1988年/米)では、ベテラン警察官が相棒に”You’re not in a black and white anymore, chasing around Mickey Mouse crimes.”(おまえはもう、パトカーに乗ってちっぽけな犯罪を追いかけてるわけじゃないんだぞ)と諭す場面がある。なお、a black and white とは「黒と白の車」、つまり「パトカー」を指すスラングである。