チームで使うDify:共同開発と権限管理のやり方

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Difyを使ったAIアプリケーション開発に慣れてきたら、次はチームメンバーと一緒に開発を進めたくなりますよね。一人で作るのも楽しいですが、チームで協力すればより大きなプロジェクトにも挑戦できるし、お互いのアイデアを組み合わせて素晴らしいものが生まれるかもしれません。でも、複数人で同じプロジェクトを触るとなると、「誰がどこまで編集できるの?」「間違って重要な設定を変更されたらどうしよう」といった心配も出てきますよね。そんな時に活用したいのが、Difyのチーム機能と権限管理です。今回は、チームでDifyを使う際の基本的な設定方法から、権限管理のコツまでを分かりやすく解説していきます!

Difyでチーム開発を始めよう!メンバー招待から役割設定まで

まず最初に、Difyでチーム開発を始めるための基本的な流れを見ていきましょう。チーム開発の第一歩は、もちろんメンバーの招待からスタートします。Difyのワークスペース画面から「設定」→「メンバー」の順に進むと、チームメンバーを招待するためのボタンが表示されます。ここでメールアドレスを入力して招待を送信すれば、相手にメール通知が届く仕組みになっています。招待を受けたメンバーは、メール内のリンクをクリックしてアカウント登録(または既存アカウントでログイン)するだけで、すぐにチームに参加できるんです。

メンバー招待の際に重要なのが、役割(ロール)の設定です。Difyでは招待時に、そのメンバーにどの程度の権限を与えるかを決めることができます。例えば、新しく参加したデザイナーさんには「閲覧者」として招待して、まずはプロジェクトの全体像を把握してもらい、慣れてきたら「編集者」に昇格させるといった段階的なアプローチが可能です。また、外部のコンサルタントや一時的に参加するメンバーには限定的な権限を与えることで、セキュリティを保ちながら協力してもらうこともできます。

実際のチーム開発では、プロジェクトの性質に応じて適切な役割分担を考えることが大切です。例えば、AIチャットボット開発プロジェクトの場合、プロンプトエンジニアには「編集者」権限を与えてAIの応答調整を任せ、UI/UXデザイナーには「閲覧者」権限でユーザビリティの観点からフィードバックをもらい、プロジェクトリーダーは「管理者」として全体的な方向性を決定するといった分担が考えられます。このように、各メンバーの専門性と責任範囲に合わせて権限を設定することで、効率的かつ安全なチーム開発が実現できるのです。

権限管理の基本:閲覧者・編集者・管理者の違いを理解しよう

Difyの権限管理システムを効果的に活用するためには、まず3つの基本的な役割の違いをしっかりと理解することが重要です。「閲覧者(Viewer)」は最も制限された権限で、基本的にはプロジェクトの内容を見ることしかできません。具体的には、作成されたアプリケーションの動作確認、設定内容の確認、テスト実行などは可能ですが、プロンプトの編集やワークフローの変更はできません。これは、新メンバーの研修期間や、外部関係者への情報共有時に適した権限レベルです。

「編集者(Editor)」になると、プロジェクトの実質的な開発作業に参加できるようになります。プロンプトの修正、ワークフローの構築、データセットの管理、アプリケーションの公開設定変更など、日常的な開発業務のほとんどを行うことができます。ただし、チーム全体に影響する重要な設定(メンバーの招待や削除、課金設定、ワークスペースの削除など)は実行できません。多くの開発メンバーは、この編集者権限で十分に作業を進められるでしょう。実際の開発現場では、プロンプトエンジニアやAI開発者の多くがこの権限で活動しています。

「管理者(Admin)」は最上位の権限を持ち、チーム運営に関するすべての操作が可能です。新しいメンバーの招待、既存メンバーの権限変更、課金プランの管理、ワークスペース全体の設定変更など、チーム全体に影響を与える重要な判断を行えます。ただし、この強力な権限は慎重に扱う必要があります。例えば、スタートアップ企業でDifyを使ったAIサービスを開発している場合、CTOやプロジェクトリーダーが管理者権限を持ち、開発チームメンバーは編集者、ステークホルダーは閲覧者として設定するのが一般的なパターンです。権限の昇格や降格も管理者が判断するため、チーム運営において中核的な役割を担うことになります。

Difyを使ったチーム開発は、適切な権限管理によって大きく効率化できることがお分かりいただけたでしょうか。メンバー招待の手順自体はシンプルですが、各メンバーの役割と責任に応じて適切な権限を設定することで、セキュリティを保ちながらスムーズな共同開発が可能になります。特に重要なのは、プロジェクトの成長段階や参加メンバーの変化に応じて、柔軟に権限を調整していくことです。最初は慎重に低めの権限からスタートして、信頼関係の構築とスキルの向上に合わせて段階的に権限を拡大していけば、チーム全体のパフォーマンス向上につながるはずです。ぜひ今回の内容を参考に、あなたのチームでもDifyを使った効率的な共同開発にチャレンジしてみてくださいね!


投稿者:吉成雄一郎:株式会社リンガポルタ代表取締役社長。AIを活用した新しい教育システムの開発に従事。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修了。専門は英語教授法。英語に関する著書多数。さまざまな英語教材や学習システムを開発。