DifyのフローチャートUIを使ったワークフロー作成入門

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AI技術の発展により、プログラミング知識がない方でも簡単にAIアプリケーションを作成できる時代になりました。その中でも注目を集めているのが「Dify」というノーコードAI開発プラットフォームです。特にDifyのフローチャートUIは、まるでパズルのピースを組み合わせるような感覚で、複雑なAIワークフローを視覚的に作成できる優れた機能です。

今回の記事では、Dify初心者の方に向けて、フローチャートUIを使ったワークフロー作成の基本から実践まで、わかりやすく解説していきます。難しい専門用語は極力避けて、具体例を交えながら説明しますので、「AIは興味があるけど技術的なことはよくわからない」という方でも安心してお読みください。

Difyのフローチャート機能とは?初心者でも簡単に理解できる基本概念

Difyのフローチャート機能は、AIの処理手順を図式化して管理できる画期的なツールです。従来のプログラミングでは、コードを一行一行書いていく必要がありましたが、Difyでは「ノード」と呼ばれるブロックを線でつないでいくだけで、AIアプリケーションが完成します。まるでレゴブロックを組み立てるような感覚で、誰でも直感的にワークフローを作成できるのが最大の魅力です。

ワークフローという言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、実は私たちの日常生活にも溢れています。例えば、朝起きてから会社に行くまでの手順(起床→歯磨き→朝食→着替え→出社)も一種のワークフローです。Difyでは、このような一連の流れをAIの処理として組み立てることができます。具体的には、「ユーザーからの質問を受け取る」→「AIが回答を生成する」→「結果をユーザーに返す」といった流れを、視覚的にわかりやすく構築できます。

フローチャート機能の素晴らしい点は、作成したワークフローが一目で理解できることです。複雑なAIの処理も、図として表現されることで、どこで何が起きているのか、どこに問題があるのかが瞬時に把握できます。また、後から修正や改良を加える際も、該当するノードを探して編集するだけで済むため、メンテナンスが非常に楽になります。これにより、AI開発の敷居が大幅に下がり、アイデアを持つ多くの人がAIアプリケーション開発に参加できるようになったのです。

実際にワークフローを作ってみよう!具体的な手順とコツを詳しく解説

それでは、実際にDifyを使って簡単なワークフローを作成してみましょう。今回は「商品レビューの感情分析AI」を例に、ステップバイステップで解説していきます。まず、Difyにログインし、新しいワークフローを作成します。画面左側のノード一覧から「入力」ノードを選んで、キャンバスにドラッグ&ドロップしてください。このノードで、ユーザーが入力した商品レビューのテキストを受け取ります。入力ノードの設定画面で、変数名を「review_text」に設定し、「商品レビューを入力してください」といったプロンプトを追加しましょう。

次に、感情分析を行うAIノードを追加します。ノード一覧から「LLM」(Large Language Model)ノードを選択し、先ほどの入力ノードの右側に配置します。そして、入力ノードから線を引いてLLMノードに接続してください。LLMノードの設定では、プロンプトに「以下のレビューテキストの感情を分析し、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルのいずれかで回答してください。レビュー:{{review_text}}」と入力します。この{{review_text}}の部分が、入力ノードから受け取ったデータに置き換わります。

最後に、結果を出力するノードを追加しましょう。「出力」ノードをLLMノードの右側に配置し、線で接続します。出力ノードでは、分析結果をわかりやすい形でユーザーに表示する設定を行います。例えば、「感情分析結果:{{LLM.result}}」のように設定することで、AIの判定結果がユーザーに表示されます。ここでのコツは、各ノードの命名を分かりやすくすることです。「入力_レビューテキスト」「AI_感情分析」「出力_分析結果」のように、後から見てもすぐに理解できる名前を付けておくと、ワークフローが複雑になっても管理しやすくなります。完成したら「テスト実行」ボタンで動作確認を行い、期待通りの結果が得られることを確認してからデプロイしましょう。

Difyのフローチャート機能を使ったワークフロー作成は、最初は戸惑うかもしれませんが、基本的な概念を理解すれば誰でも簡単に始められます。今回ご紹介した感情分析AIは、ほんの一例に過ぎません。同様の手順で、翻訳AI、要約AI、チャットボットなど、様々なAIアプリケーションを作成することができます。

重要なのは、完璧を目指さずに、まずは小さなワークフローから始めることです。慣れてきたら徐々に複雑な処理を追加していけば、いつの間にか本格的なAIアプリケーションが完成しているでしょう。Difyのフローチャート機能は、あなたのアイデアを現実のものにする強力なツールです。ぜひ今日から始めて、AI開発の楽しさを体験してみてください。


投稿者:吉成雄一郎:株式会社リンガポルタ代表取締役社長。AIを活用した新しい教育システムの開発に従事。東京電機大学教授、東海大学教授を経て現職。コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジ修了。専門は英語教授法。英語に関する著書多数。さまざまな英語教材や学習システムを開発。